不良在庫とは
そもそも不良在庫とはなにか、についてお話しします。
不良在庫とは回転率が極端にひどく、売れる見込みのないものや全く売れていない商品を意味します。不良品や欠陥品もこれに含まれます。
他にも不動在庫、低回転在庫、死筋在庫、陳腐化商品、スクラップ、長期保管品など様々な呼称があります。
デッドストックとも性質が似ていますが、厳密には異なります。デッドストックは単純に余っている在庫のことですが、不良在庫はほかの在庫に影響を与える可能性がある点で異なります。
他のビジネスと比較しても中国輸入では特にこの不良在庫と付き合っていかなければなりません。
中国輸入の会社に勤めていた。不良在庫が与える影響
中国輸入をしていた僕の知り合いの話です。
私が中国輸入を行う会社に勤めていたころも不良在庫には悩まされました。
具体的な例を挙げると、劣化、損傷の激しい商品がほかの商品に色移りしたりするといった状況が起こります。不良在庫はそのものに価値がないだけでなく、ほかの在庫の価値を下げる悪影響まで与えるので、とてもたちが悪いです。それだけでなく、ほぼゴミ同然の物を保管すること自体にもコストはかかります。
不良在庫は会計上、資産として扱われるので気づかぬうちに現金、資金を削っていき、資金繰りが苦しくなっていく原因になりかねません。最悪の場合、不良在庫が原因で破産するケースもあります。
不良在庫はリサーチ時の販売予測と異なる展開になったり、販売計画が変更された場合に生じます。処分するのはもったいない、自分の商品を不良在庫だと思いたくないとして、長期間保有することはなんのメリットも得ません。
それどころか、かえって損失を大きくすることになるでしょう。
商品を保管しているスペースを不良在庫が占領すれば、正しく在庫管理していくことも困難になっていきます。正しく在庫を管理できなければ、優良な商品が不良在庫に埋もれて見つからない、紛失するなどケースもありがちです。
そうなれば、記録上と実際に販売できる商品の数に差が出てきます。山のように積まれた不良在庫を抱えていながら、売れ筋の商品が品切れといったことが起きかねません。
中国輸入と不良在庫
中国輸入ではなぜ不良在庫が多く出るのでしょうか。
中国輸入を行う会社で私が実際に体験したことをできる限りお伝えします。
中国輸入の商品の質
そもそも中国輸入を行って手元に届く商品は質が悪い(クオリティが低い)ことが多いです。
質が悪ければ、届いたときにすでに不良品ということも多々あります。その場合は仕入れた瞬間に即、販売することのできない不良在庫行きです。
届いたものを検品して、不良品をはじいていきますが、毎回販売できない状態の商品は出てきます。仕入れを繰り返していくうちにそれは山の様にたまっていきます。
せっかくお金を払って仕入れているのに、そのなかに毎回ゴミが混ざっているというのは笑えない状況です。それどころか、産業廃棄物ですので、普通ゴミとして処分することもできませんから非常にたちが悪く、言うなればゴミ以下です。
販売元もめったに返品対応などしてくれません。
しかし、中国輸入ではこのようなことを毎日当たり前にこなしていかなければいけません。私もよく目にしていましたが、日本人の感覚からすると異常な光景でした。
*不良品についての詳細は、『中国輸入した商品は不良品が多い』をご覧ください。
中国輸入は利益率が低いためたくさん売らなければならない
中国輸入で販売する商品は単価が安く、商品一個当たりの利益額が少ないケースが多いです。商品一個当たりの利益額が少なければ、大きく儲けるためにはたくさん売らなければなりません。
売り上げをキープするために日々、爆発的な売れ行きを継続させなくてはいけないのです。
当然ですが、それには多くの在庫、弾数が必要となります。
そのため、一度に仕入れる商品の数がとても多いのです。
となれば、売れなかったときの不良在庫も他のビジネスとは比にならないほど膨大なものになるのもお分かりいただけると思います。
中国輸入は商品の旬(トレンド)が短い
中国輸入転売ビジネスの商品は価格崩壊が発生しやすい傾向があります。
仕入れ前に入念に商品をリサーチをしたとしても、中国輸入は外国であるが故、日本に商品が届くまで時間がかかります。
未来予測をして、リサーチ時の販売予測通りの状態を長期間キープするのは非常に困難であり、完璧に予測することはほぼ不可能です。
常に短期勝負の気持ちで取り組むのはビジネスとして精神的に大きな負担にもなりますし、売り抜けられなかった販売者は損失を被ります。
中国輸入の商品は、新規で販売を開始しても1.5ヶ月程度で同じ商品を売っているライバルの数が急増して、商品の価格が下がっていく傾向があります。
ただでさえ、たくさんの商品を売らなければならないのに、商品ごとに売ることができる期間が短いので不良在庫となる可能性はさらに高くなります。
【point】
私が実際に経験したもので言えば、iPhoneやAndroidのスマホケースなどにこの傾向がありました。スマートフォンは新機種、新しいモデルが頻繁に発売されます。
iPhone Xが発売された瞬間、iPhone 8用のケースはサイズが異なるため型落ちとなります。すぐに売れなくなるわけではありませんが、日に日に商品の価値は下がっていきます。
例えば、iPhone 4に関連する商品を今売ろうとしてもほぼ売れないですよね。それは、古い機種ほど使用者がほとんどいなくなっていくためです。
このように中国輸入商品でよくあるスマホなどの人気アイテムにあやかろうとする商品は特に旬が短いものとなります。
中国輸入では常にリサーチをし、短いスパンで新たな商品に鞍替えしていかなければなりません。永遠に売れる商品はありませんが、できることならもう少し価値が不変的なものを商品として扱いたいですよね。
中国輸入をするライバルたちとの競争によって生まれる死筋
中国輸入転売ビジネスは淘宝(タオバオ、taobao.com )、阿里巴巴(アリババ中国、1688.com )、天猫(Tモール、Tmall.com)といった誰でも利用できるサイトがあり、そのお手軽さが故に数多くのユーザーが参入しています。
基本的に最安値でなければ商品が売れないという状況なので、10円でも下げた出品者に販売機会を奪われてしまいます。
あなたがリサーチによってせっかく見つけた良い商品も、同業者たちがすぐに相乗りをしてきてあっという間に食い荒らされてしまうということが多々起こるのです。
以下に値下げ競争によって死に筋となった商品の実例をあげます。
3980円が999円に・・・
この商品は中国のタオバオ(淘宝)で購入できるハンモックです。
当初は3980円で売られていましたが、販売状況を見て利益を取ろうとする業者、転売屋が増えるにしたがって価格競争が起こり、現在は999円で販売されています。
現在はほどんどの販売者(セラー)がこの商品から撤退しており、完全に死筋の商品となっています。
*値下げ競争についての詳細は、『中国輸入転売と値下げ競争』をご覧ください。
【point】
私も似たケースとして、昨日まで利益が取れていた商品に急に参入者が増えた結果、1日にして死筋になる商品を見てきました。
そこで起こる問題は価格競争だけではなく、悪質な業者が同一のページに参加してきた場合、質の悪い似たような商品(完全に別物のこともある)や不良品、偽物(コピー品)を販売することがあります。
これによって商品のレビューが粗悪である、偽物であったなどのように書かれて、評価も下がり、自分の扱う良品も同じ扱いを受けてしまうことになります。
この誤解によって良品である商品も不良在庫となる場合があります。また、販売者としての評価もこのシステムが生む誤解によって被害を受けるケースがあります。
こうなってしまうと、その商品ページは死にページと化します。
昨日まで売れ筋で評価も高かったページが一瞬して死んでいく光景は筆舌に尽くしがたいものがありました。
中国輸入で返品された商品
商品の質で話した内容と少し被るのですが、中国輸入で手に入る商品はとにかく質が悪く、クオリティーが低いです。そのため、写真と違う、思っていたよりクオリティーが低いといった理由で返品を希望するお客様も多いです。
中国人が作る商品は日本人が求めるクオリティーとは違いますから、当たり前といえば当たり前です。商品に自信が持てないので、クレームがでないだろうかと不安を感じながら毎日商品を発送していくことになります。
また、検品時に問題のなかった商品でもお客様の手元に届いてからすぐに壊れてしまったといったことが頻繁に起きます。
このような場合には返品対応をすることになるので、返送される商品も日に日にたまっていきます。返品対応に必要な費用も安くないですし、電話対応などの労力もかかります。
そして、返送された商品は不良在庫となっていきます。
繰り返しになりますが、販売元はめったに返品対応などしてくれません。
【point】
私の経験上、返品によって生まれる不良在庫の量は想像以上に多いです。理由としては仕様上問題のないものでも、力の加え方、衝撃によって故障や不良化が起こるためです。
お客様としては「普通に使っていただけで壊れた」と感じています。
その線引きが非常に難しいため、基本的に常識の範囲内であれば、返品を受け入れなければならないのです。検品など幾多の作業を経てようやく販売できた商品が怒りとともに返送され、不良在庫となっていくのはとても悲しいことです。
中国輸入で仕入れてしまった不良在庫はどうするのか
このようにして生まれた不良在庫ですが、実際に抱えた場合はどうするのでしょうか。
インターネット上では、
・ヤフオクで売る
・メルカリで売る
・Amazonで価格を下げる
といったことを推奨する記事をよく見かけます。
私の意見ですが、そんなに簡単に売れません。
売れたとしても中国輸入の不良在庫が増えるスピードに追いつきません。正しく商品の状態を伝えなければ、それぞれの販路で販売者としての評価も下がります。
処分にかかる時間や人件費などの費用もあります。キャッシュフローに影響がでるのは言うまでもありません。
先述したように不良品をAmazonの相乗りで販売してしまえば、その商品自体を死筋にするケースがあり、他の販売者、販売元に迷惑をかけます。
とはいえ、中国輸入をやるのであれば不良在庫は必ず出ます。
不良在庫が生まれることは仕方ないので、その確率を下げる努力をしなければなりません。それにはリサーチの段階で仕入れる数量を慎重に検討しましょう。
しかし、それよりも不良在庫を出来る限り早期に処分することを考えましょう。
物販において、不良在庫はただのゴミです。倉庫に保管すれば、その量に応じて費用が掛かります。自宅に保管する場合であっても、スペースには限りがあり、いつまでも置いておくわけにはいきません。
ゴミを大事に保管していても仕方がないので、現金化する方法があれば速やかに実行しましょう。現金化できる場合には欲を出さない、利益を上げようとしないことです。処分するという目的を忘れずに見切りをつけましょう。
中国輸入における不良在庫と付き合うコツは、処分する基準をしっかりと持っておき、感情は入れずに機械的に行うことです。もったいない、まだ売れるかもなどと考えずにスパッと切り捨てることが大切です。
【point】
利益がほとんど取れない(もしくは赤字、値段がつかない)商品を一生懸命売ろうとする時間と労力ほどもったいないものはないです。
言い方は悪いですが、ゴミ同然のものを売ろうとするのはモチベーションにも響きます。
経験上、不良在庫は素直に処分して新商品を仕入れる、人気商品を作って売る方向に力を注いだほうが、結果的に利益につながります。
そもそも、中国輸入の手法は「同一商品をたくさん仕入れて、爆発的に売る」ことです。不良在庫となった商品に手間暇をかけて、ひとつひとつ状態を確認しながらヤフオクやメルカリなどのフリマサイトに出品したとしましょう。そこからさらに売れるまでの間、長い期間待つことになります。
これでは当初の目的であった「同一商品をたくさん仕入れて、爆発的に売る」と逆の状況になってしまうのです。
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僕はかつてブラック企業の社員でうつ病寸前になり、退職後は引きこもりのどん底状態が続きました。
アフィリエイトやAmazon転売など、
数々のネットビジネスでことごとく挫折したあげく、最後にたどり着いた古着転売で成功をつかみ、毎日の労働から解放され自由を獲得しました。
僕はもともとビジネスに才能があったわけでもなければ、しゃべるのが得意だったわけでも、文章を書くのが得意だったわけでもありません。
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