中国輸入とは
近頃、インターネット上でも見かけることの多い、中国輸入について解説します。
中国輸入とは主に日本国内で転売することを目的に中国サイトから商品を購入、輸入することを意味します。
代表的なサイトは淘宝(タオバオ、taobao.com )、阿里巴巴(アリババ中国、1688.com )、天猫(Tモール、Tmall.com)などです。
これらのサイトはとても多くの商品があり、日本では見つからないような価格の安さが魅力です。中国は人件費が日本よりも安いため、日本と比較して安い商品がたくさんあります。その差額を狙って利益を上げるのが、中国輸入転売なのです。
その商品価格の安さ故、ネット上で個人でも参加しやすいとされることが多く、少ない資金で初心者には最もおすすめといった記事を目にしたこともあるかもしれません。
そのこと自体がすべて間違っているとは言いませんが、現実に起こっていることとは違うケースがあり、誤解を招きかねないので解説していきます。
中国輸入のデメリット
以下は中国輸入会社に勤めていた知り合いの話です。
私は、過去に中国輸入を行う会社に勤めていた経験があります。ですので、その実態についても多くを目の当たりにしてきました。
推奨されることの多い中国輸入ですが、逆に批判する内容の記事はほとんど目にしません。ここではあえて、中国輸入転売ビジネスのデメリットについて触れておきたいと思います。
中国輸入のデメリット1:利益額が少ない
単価が安く、商品一個当たりの利益額が少ないケースが多いです。
商品一個当たりの利益額が少なければ、大きく儲けるためにはたくさん売らなければなりません。売り上げをキープするために日々、爆発的な売れ行きを継続させなくてはいけないのです。
会社規模であれば100万、200万円といった莫大な広告費を使っていくこともできますが、これが資金の少ない個人ではどうでしょうか。
実際に私の勤めていた会社でも常に月300万円前後の広告費を使って、売り上げを維持していました。このことだけでも、初心者が少ない資金で大きく稼ぐというのは並大抵ではありません。
中国輸入のデメリット2:価格競争に巻き込まれる
中国輸入転売ビジネスでは価格競争が起こります。
同業者たちは日々、10円でも安くとしのぎを削っているわけです。
この価格競争に耐えるため、少しでも安く仕入れようと100個、1000個といった大きなロットで仕入れていくことになります。
ここでも資金力の差が物を言うので資金の少ない個人は戦うことができません。また、売れ残った場合は当然ながら大きな損失が残ります。
中国輸入のデメリット3:言葉の壁
中国から輸入する場合、当然ですがやり取りは全て中国語で行います。
私の勤めていた会社には中国人も在籍していましたので、中国語でのやり取りは問題ありませんでした。しかし、中国語が扱えない個人の場合はどうでしょうか。
交渉する際の電話、メール、書類は全て中国語です。中国輸入代行を依頼したり、通訳を雇うことになりますが、それには費用が必要になります。
直接会っての商談となると言語だけではなく、日本とは違う文化も理解できなければなりませんので、中国人でなければ難しい場面もあります。
中国輸入のデメリット4:商品の品質
日本の商品クオリティーと中国の商品クオリティーは全く違います。中国輸入では日本ではありえないようなことが頻繁に起こります。
いざ日本に到着した商品を開けてみて、驚くことが多々あります。
・商品自体が壊れている
・商品の外箱がつぶれている
・色が違う
・大きさが違う
・デザインが勝手に変更されている
・そもそも写真と完全に別物
日常茶飯事です。安かろう悪かろうを地で行くイメージです。
下の記事も参考にして下さい。
代行業者によっては検品してくれる場合もありますが、簡易的なものであることが多いので、自身で最終チェックする必要があります。
ただでさえ、大量に販売しなければならないのに、商品の質が信用できずに一つ、一つ検品していくので、膨大な時間と労力が必要になります。
このようなものが届けば日本では売り物にならないので、いくら商品の単価が安くても検品して不良品をはじいた結果、仕入れ値が高くつくこともあります。
また、不良品を廃棄処分する場合は、産業廃棄物として費用が掛かります。
中国輸入のデメリット5:商品の旬が短い
中国輸入転売ビジネスの商品は価格崩壊が発生しやすい傾向があります。
仕入れ前に入念に商品をリサーチをしたとしても、中国輸入は外国であるが故、日本に商品が届くまで時間がかかります。
未来予測をして、リサーチ時の販売予測通りの状態を長期間キープするという事は並大抵ではありません。常に短期勝負の気持ちで取り組むのはビジネスとして精神的に大きな負担にもなりますし、売り抜けられなかった販売者は損失を被ります。
中国輸入の商品は、新規で販売を開始しても1.5ヶ月程度で同じ商品を売っているライバルの数が急増して、商品の価格が下がっていく傾向があります。
中国輸入のデメリット6:納期が遅れる
中国は日本とは違って、基本的に”適当な国”です。
商品の質もそうなのですが、発送がやっぱりもうちょっと遅れるなんてこともあります。
ただでさえ、商品が売れる旬が短いのに販売機会を失ってしまいますし、たまったものではありません。キャッシュフローにも深刻な影響がでます。
中国輸入のデメリット7:リサーチの労力が大きい
中国輸入は薄利多売の状態で、しかも価格競争が起こるので、利益を増やしていくためには、積極的に販売数を増やしてしていくしかありません。
商品の価格崩壊が発生しやすく旬が短いということからも、新たに取り扱う商品を延々とリサーチをし続けなければ、販売する商品が途切れてしまい、売るものがないという事態になりかねません。
当然ですが、販売する商品がなければ、物販ビジネスは成り立たなくなるので利益が上がらなくなるという事になります。
そうでなくとも、少しでも気を抜いて、販売商品のリサーチを緩めると売り上げが下がります。
永遠に新商品のリサーチを継続しなければならないというのはとてもつらい作業です。
中国輸入のデメリット8:お客さんに感謝されない
私が中国輸入のビジネスに携わって最もつらかったのがこれです。
中国輸入以外の商品と比べると、これだけの時間、労力、費用をかけているにもかかわらず、お客さんから感謝されることが少ないのです。
商品の質の話とつながるのですが、どれだけ商品を検品しても商品そのもののクオリティーは低いことが多いです。中には良い商品もあるのですが、数を売らなければならないので、中国輸入転売ビジネスにおいて、良い商品だけで固めるというのは困難なことです。
クオリティーが低いのでお客さんからは、想像していたより安っぽいと思われがちです。
検品時問題なかったものでも壊れやすかったり、突然動作不良を起こすものなども出てきます。なので、クレームの連絡も増えますし、ショップの評価も下がってしまいます。
不良品率が高いので、返品対応しなければならないケースも多く、これにも労力と返送料や返金などの費用がかかります。また、返品された商品は不良在庫となり、当然販売することはできません。
そもそも、不良返品が前提というのはビジネスとしてどうなのだろうと当時は頭を悩ませていました。
中国輸入とメルカリ転売
中国輸入した商品をメルカリで販売することを勧める記事も多く見受けられます。
しかし、中国輸入した商品をメルカリで転売するのはおすすめできません。
中国輸入の商品がメルカリで売れている時期があった
一時期中国輸入の商品が売れていたフリマアプリのメルカリですが最近はあまり売れなくなってきています。
中国輸入を行っている販売者の間では”メルカリバブル”などと言われていたようで販売者たちもその状況を認識していて、そのうち売れなくなるのではという危機感があったように見受けられますが、予想よりも早く売れなくなってきているようです。
これを読んでいる方の中にも実際に中国輸入をしていて、最近売れなくなったと感じている人がいるのではないでしょうか。
メルカリ内であまりに転売目的の中国輸入品が増えてきたので、ユーザーが避けている印象があります。
中国輸入の商品は写真が不自然にきれいなのですぐにわかってしまうようです。
中国輸入のアイテムがメルカリで売れていた理由
メルカリはSEO対策が不要で販売業者や中国人が参入しにくかったこともあり、初心者でも比較的楽に売ることができました。
値引き交渉などの要素があり、業者や中国人が入りづらい作りになっています。
メルカリはフリマアプリですから、本来は現実のフリーマーケットのように、家にある使わなくなったものやリサイクルを目的としたアプリです。
中国輸入の商品を売る場合の販路は楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazonなどのショッピングサイトが本来のプラットフォームです。しかし、それらのショッピングサイトは立ち上げるのに資金が必要であったり、審査がある場合があります。また、業者は高額な広告費を投じているので素人が入りこむ余地がありません。
その点で、メルカリは中国輸入の商品を個人でも売る事ができました。
売れる商品を相乗りしようとする業者や中国人が少なかったので比較的長い期間売れていたようです。
中国輸入の商品がメルカリで売れなくなった理由
現在では有名になったタオバオで数百円で売られている新品商品をメルカリで数千円で売るという手法ですが、多くの人に認知されれば売れなくなるのは時間の問題です。
中国輸入の商品は、最初は日本人のセンスの良い人が見つけ出し、売れているのをみた業者が相乗りをして大量に売り出し、最後に日本にいる中国人が動き出します。
また、同じ写真を使っていながらも同一商品のコストを下げるために、どんどん安い工場で作られるようになり品質も下がっていきます。
品質の低下にしたがって過剰在庫が増えてきて、価格も下がっていくのは必然ですし、ユーザーも品質に疑いを持ち、売れなくなっていきます。
業者や中国人は入ってきませんが、中国輸入の情報商材を扱う塾などが増えてきて副業でメルカリを行っている個人は増えました。悪質な例としては、アマゾンで売られている中国輸入の商品を無在庫で転売するといったことを推奨する人がいたり、実際に行う人もいるようです。
一時期、メルカリのホーム画面は転売目的の中国輸入商品であふれかえっていました。
中国輸入に対するメルカリユーザーの反応
「ユーザーが避けている印象がある」と先述しましたが、実際に中国輸入転売の商品についてメルカリボックス(mercari Box)に記載しているメルカリユーザーの方がいたので引用させていただきます。
中国転売についてです。
中国転売についてです。
長いので時間がある方お願いします。
無在庫転売はメルカリで禁止されています。
それに伴って中国転売などが増えていますが、正直どれが中国転売なのかわかりません。
これは私の気持ちの問題ですが中国転売の商品は使いたくありません。
日本でも中国製はありますが、定期的に現地訪問して選ぶ商品で日本でも安全基準に達している商品は大丈夫です。
が、現地訪問無しの安全基準無視の転売は正直怖すぎです。
今でもヤバイ薬品ガンガン使っている中国ですので何かしら影響が出てからでは遅いです。
正直中国転売で捕まった方もいます、正直もっと捕まって中国転売自体違法にしてほしいと思うくらい嫌です。
転売自体は別に気にしません。
安全面さえしっかりしていれば。
どうにかして中国転売商品を見抜く方法はないでしょうか??
出典:mercari Box https://www.mercari.com/jp/box/q48d114c179ba3b71/
ベストスッキリに選ばれた回答者の方が勧めている「画像検索する」方法は転売目的の中国輸入商品を見分けるのにとても有力な方法です。
ただ、最近ではわざと写真のクオリティーを下げるなどして、素人感をだそうとするケースがあるようで、完全にイタチごっこになってしまっています。
中国輸入とメルカリの規約
メルカリの規約ではそもそも業者が商品を販売することを認めていません。
メルカリは大量の新品商品や同一商品を販売、発送することを認めておらず、悪質とみなされた場合はアカウント停止などの処分が下されます。
また、偽物、コピー品の販売も問題になっていて過去に逮捕者も出ています。
このような事態にならないように、メルカリを利用する際はしっかりと事前に利用規約を確認しましょう。
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