【書評】「交通誘導員ヨレヨレ日記」を元警備員の僕が読んでみた。

「交通誘導員ヨレヨレ日記」っていうのは、
道端で車を誘導したりしている73歳の警備員の話です。

僕は大学生だった時、警備員のバイトをしていた経験があります。

この漫画を読んで、
最底辺だなあと自分の立場を噛み締めていた、
その時の記憶が色々と鮮やかに蘇りました。

警備員の辛さは、
夏暑くて冬寒いとか、
肉体的な辛さももちろん
多々あるんですが、

「仕事に誇りを持てない」

という精神的なものが、
僕にとってはとても苦しかったです。

警備員という仕事は

「底辺」

だと人に思われています。

きれいごと抜きに、
これは事実です。

それは大学生のとき、
警備員やってるよーとなんの気無しに友達に言ったら
「え、なんで?」
とドン引きされたことも感じましたし、
警備の仕事中、通行人の会話や視線からもひしひしと感じました。

 

また、警備員の先輩方の性格も、
めちゃくちゃ卑屈か、
卑屈すぎて逆に他の警備員にめちゃくちゃ偉そうになってるか、
無心でやってるか、
すごい嘘つきか、
みたいな極端なひとが多かったです。

 

警備員をやめた後、就職しホワイトカラーの仕事を経験しました。

ホワイトカラーの仕事では、
「仕事が辛いよ〜」と文句を言っている同僚はたくさんいましたが、
「仕事が恥ずかしい」という同僚はいませんでした。

しかし警備員の仕事に誇りを持っている人は
僕は見たことがありません。

みんな、辞められるならこんな仕事辞めたい。
金があればすぐに辞めてやる。
世間体が悪い。

仲良くなった警備の先輩と話してても、
そう思っている人ばかりでした。

「大学生なんだから、こんな仕事やってちゃだめだよ」
「早く辞めてもっと別の仕事をやりなさい」

みたいなことはしょっちゅう言われました。
自分の仕事を、
「こんな仕事」と卑下するって…。

 

たとえば道で工事をしている光景、よく見ますよね?
その工事現場の付近には、
旗やピカピカ光る棒をを振っている警備員がいます。

警備員の仕事は、
その工事中の道を通る歩行者に、
「危ないので気をつけて通ってくださいねー」
と声をかけたり、

旗や棒をふって、
車のドライバーをとめて、
スムーズに安全に車を流すのが、
その場の警備員の仕事です。

車を交互に流すのは
「片側交互通行」といいます。
警備員用語で、片交。かたこう。

この片交で、
車をスムーズに流すのが、
けっこう難しいんです。

ドライバーも親切な人ばかりではもちろんありません。
急いでいるドライバーもいれば、
恐いドライバーもいます。

ほとんどのドライバーはいい人なんですけど、
たまにこちらの静止を止めずに
ぶっちぎって行ってしまうドライバーもいます。

しかし、
警備員はクルマを止める権限がありません。
ただ、止まってね!と「お願い」をしているという弱い立場です。

だからいくら、
「ストップストップ!」とこちらが車を止めたくても、

うるせえ!こっちは急いでるんだ。警備員にはなんの権利もねえだろ!!
お前のせいで仕事に遅れたら訴えてやるぞ!!このボケ!!!

といわれてしまったら、
警備員は反論できないのです。

めちゃくちゃ立場弱いんです。
なんの権利もありません。

こんなように、
一般の人に対しても立場が弱いですが、
現場でも最底辺です。

都内の、とある大きな商業施設を建設する
現場の警備をやったことがあるのですが、
かなりでかいショッピングモールを作るので、
現場には200人ほどの職人さんたちが働いていました。

僕は警備員なので、
「元気よくあいさつをしろ」
と警備会社に言われてるので、
元気よくあいさつするのですが、
無視されることも多かった。

現場について、
出勤してくる職人さんに、
あいさつをします。

おはようございまーす!
無視。

仕事が終わって、
お疲れ様でしたー!
無視。

うーっす。
とか、
黙ってコクっと頭を下げる、
くらいの反応があるだけで嬉しいんですが、
無視されるのは苦しい。

たぶん、警備員って、
何もしてない、
楽してるように見える、
誰でもできる仕事だと
人様から思われてると思います。

誰でもできる仕事なのは、
その通りだと思います。笑

実際、
どんなバイトをしても
使えないやつ扱いされた僕が
一番居心地のよい職場だったので。
警備の仕事だけは、
僕みたいな使えないやつでも
ちゃんと一人の人間として扱ってくれました。

しかし、何もしてない、
楽してる、というのは
違うと思います。

警備員の仕事は、
現場に事故が起きないように、
何事もないように気を配ることです。

やってみたらわかりますが、
それはそれなりに、
結構大変なんですよ。
車の誘導は交通量が多いところだと本当に忙しいですし。

ブルーカラー、
肉体労働の仕事って、
社会に必要な、
大事な仕事なのにもかかわらず、
あまり尊敬されないじゃないですか。
きつい、汚い、危険の3Kとか言って。

だから、職人のひとたちも肉体労働なので、
「ホワイトカラーの人から下に見られている」
という意識があると思うんですよね。

そんな人たちからもさらに露骨に見下されるのが、
警備員ですから。

だから僕は最底辺だと思うのです。

警備員が見下せる対象はいませんからね…。

その後いろいろあって、
今の僕はネットで仕事をしているわけですが、
めちゃくちゃ状況は変化しました。

肉体的には。
警備員のときには時給で働いていたので、
お金を稼ぎたかったら
とにかくシフトをいれまくることです。

夜勤もあるので、
朝から夕方まで働いて、
夕方から朝まで働くということもできました。

もちろんそんなムチャな働き方をしていると、
若くても体調をぶっこわします。
20歳前後の一番体力があるときでも、
寝ないで仕事をするのでいつも風邪をひいたり
お腹を下したりして体調は最悪でした。
今の僕には絶対そんな働き方はむりです。

でも今は違います。

まず会社員でもバイトでもなく、
自分で会社を経営しているので、
1日のぜんぶを自分でコントロールできます。

僕はいっぱい寝たいし、
夜更かしも好きなので、
好きな時間に起きれるというのが最高です。

昼に起きても、
別に誰にも怒られません。
スケジュールも自分で組み立てられるので、
この1ヶ月はいっぱい仕事して、
次の1ヶ月はどっか目的地も決めず旅行しようとかも可能です。

もう少し暖かくなってたら、
車でひとり旅を計画中です。
とりあえず1週間くらい?
夏は北海道を一周しようかなとか。

奥さんの許可がとれればですが笑

ネットがあればどこでも仕事ができるので、
ノートパソコンだけ持っていけば、
世界中どこでも仕事ができてしまいます。

精神的にもめちゃくちゃ楽です。

会社にいく必要もないし、
満員電車に乗ることももうないし、
いやな上司にぺこぺこ頭下げたり、
おもしろくもないのに愛想笑いをする必要もありません。

特に僕は、
コミュニケーションが下手で、
誤解されたり、
嫌われたり、
いいことがなかったのですが、
ひとりで仕事ができるので人間関係の悩みが消滅しました。

警備員のときではないですが、
就職してブラック企業に勤めていたとき。

ある時パワハラをしてくる上司に誘われ、
飲めないのに飲み会に参加したのですが、
隣に無理矢理座らされたあと、
ずっと無視。

なにか話しかけても、
上司の言うことに愛想笑いをしても、
全て無視。2時間ずっと。

そして次の日にそのことで説教。
「なんでお前は何も話さねえの?」
「お前何しにあの飲み会来たの?」

いや、断ったけどお前がむりやり連れてったんだろ。
そんでなんとか話に参加しようとしたけど、
お前が全部無視したんだろ。

内心、怒りの感情で頭がどうにかなりそうでしたが、
上司なので口答えは絶対にできません。

会社員時代はこんなことばっかりでした。

精神的にも肉体的にも解放されて、
好きな場所、好きな時間、好きなことを仕事にできる、
今の環境を手に入れられて本当によかったと、
毎日噛み締めています。

そんなことを
「交通誘導員ヨレヨレ日記」
を読んで思いました。

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それでは、
しーなでした。

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僕はかつてブラック企業の社員でうつ病寸前になり、退職後は引きこもりのどん底状態が続きました。
アフィリエイトやAmazon転売など、
数々のネットビジネスでことごとく挫折したあげく、最後にたどり着いた古着転売で成功をつかみ、毎日の労働から解放され自由を獲得しました。

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この記事を書いた人

34歳/湘南在住/古着卸オーナー/経営コンサルタント/会社2社経営/作家/古着物販/古着物販スクールクラスタ、VIntage Buyer College代表/古物商

大学卒業後、新卒で入社した会社を上司のパワハラにより退職。アフィリエイトやAmazon転売などのネットビジネスに失敗したのち、古着物販ビジネスで起業する。「古着の仕入れ、ネットでの販売、梱包・発送」の大部分を自動化し、金銭的・身体的・時間的自由を手に入れる。現在は会社員を中心に、学生、主婦、フリーランサー、経営者など、新規事業立ち上げやマーケティングを視野に入れたビジネスマンへのセミナーを開催。また全国で400名を超える生徒が参加する、マーケティングを軸に古着物販を総合的に教えるビジネススクールを運営している。

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